
秋の味覚といえば、やっぱり栗🌰。
ほくほくとした食感と優しい甘みは、誰もが秋を感じる瞬間です。
しかし、実際に家庭で茹でてみると「皮が剥きにくい」「甘くならない」「ボソボソになる」などの失敗が少なくありません。
時間をかけて下準備をしたのに、思ったような仕上がりにならないと、次の年には栗料理を敬遠してしまう…そんな経験を持つ方も多いでしょう。
そんな悩みを解消してくれるのが、NHKの人気番組「ためしてガッテン」で紹介された栗の茹で方です。
科学的な裏付けがあり、しかも家庭で簡単にできるのが魅力。
長年の調理経験がなくても、ちょっとしたコツを押さえるだけでプロ顔負けの仕上がりになります。
今回は、そのガッテン流の基本と裏ワザを、実体験や補足知識とあわせて詳しく解説します。
剥いた栗の茹で方や茹ですぎを防ぐコツ、保存方法や応用レシピまで、この1記事で丸ごと理解できる内容です。
読んだあとに「今年こそ栗を上手に茹でたい!」と思ってもらえるはずです。
栗の甘さはどこから来る?
栗の甘みは、でんぷんが糖に変化する「糖化」という現象によって生まれます。
この変化は時間と温度によって大きく左右されます。
収穫直後の栗はまだ糖化が進んでおらず、甘みが控えめ。
見た目は立派でも、口に入れると「思ったより甘くない…」と感じるのはこのためです。
そのため、買ってきたらすぐに茹でるより、低温で1〜2週間ほど保存すると甘さが引き立ちます。
「ためしてガッテン」では、栗を0〜5℃の環境で保存すると糖化が進み、甘さが最大限に引き出されることが紹介されました。
これは、栗の中にある酵素が低温下で働き続けることで、でんぷんがゆっくりと糖に変わっていくからです。
家庭では冷蔵庫の野菜室が理想的です。
さらに一歩進めるなら、新聞紙に包んでポリ袋に入れ、乾燥を防ぎながら保存すると鮮度が保てます。
ただし、あまり長く置きすぎると発芽やカビの原因になるため、2週間程度を目安にしましょう。
栗の選び方で8割が決まる
おいしい栗を調理するためには、まず良い栗を選ぶことが重要です。
素材の良し悪しは、後の仕上がりを大きく左右します。
・手に持って重みを感じる栗は水分がたっぷり含まれています。
・殻の表面がツヤツヤしていて、傷や穴がないものは鮮度が高い証拠です。
・形がふっくらしていて、左右のバランスが整っているものは実入りが良い傾向にあります。
選んだら、まず水に浸けて浮いてくる栗を取り除きましょう。
浮いた栗は内部に空洞ができていたり、虫食いの可能性が高いからです。
また、産地や収穫時期によっても味わいが変わります。
一般的に9月下旬〜10月上旬の栗は甘みが強く、粒も大きめ。
逆に早生(わせ)品種は粒はやや小ぶりですが香りが良く、渋皮煮など香りを活かす料理に向きます。
ガッテン流 基本の茹で方
「ためしてガッテン」が推奨する茹で方は、とてもシンプルですが理にかなっています。
- 栗を水に浸けて汚れを落とす(30分〜1時間)。
ここで浮いた栗は取り除きます。 - 鍋に栗とたっぷりの水、塩ひとつまみを入れる。
塩は味付けというより、ほんのり下味をつける程度でOK。 - 強火にかけ、沸騰したら弱火にして40〜50分コトコト茹でる。
- 竹串がスッと刺されば火を止める。
最大のポイントは「水から茹でる」ことです。
急激に加熱すると、栗の細胞が破壊されて甘みや香りが逃げやすくなります。
水からゆっくり温度を上げることで、でんぷんの糖化や甘みの保持につながります。
さらにガッテンでは、茹で上がった栗をすぐに取り出さず、煮汁ごと常温で一晩置く方法も紹介しています。
この「一晩放置」が、甘みを最大限に引き出す裏ワザなのです。
甘み倍増!「一晩放置」の裏ワザ
茹で上がった栗をそのまま煮汁に漬けて常温で一晩置くと、糖化が進み驚くほど甘くなります。
この方法のポイントは、温かい状態からゆっくり温度を下げていく過程にあります。
余熱と時間をかけることで栗の内部の酵素が働き続け、でんぷんが糖に変化します。
初めて試したとき、翌日の栗の甘さに本当にびっくりしました。
一口かじった瞬間、「えっ…何これ?」と思わず声に出してしまうほど。
まるで砂糖を加えたような甘味なのに、自然な風味がしっかり残っているんです🍬。
また、この一晩放置法は甘みだけでなく、食感の安定にも効果があります。
茹でた直後は水分が全体に行き渡らず、部分的に固いこともありますが、時間を置くことでしっとり均一な仕上がりになります。
ただし、夏場や気温の高い時期は傷みやすいため、粗熱を取った後に冷蔵庫で保管しながら一晩置くと安心です。
剥きやすくする「切れ目+下茹で」
鬼皮と渋皮を一度にむくには、この方法が便利です。
・栗のお尻(平らな方)に包丁で浅い切れ目を入れる。
・3〜5分下茹でして、熱いうちに布巾で包んでむく。
このときのポイントは「切れ目を深く入れすぎない」こと。
あまり深く切ってしまうと実が割れてしまい、見た目が悪くなります。
「手間が半分になった!」と感じるくらい楽になるので、栗ご飯や大量調理のときに特におすすめです。
私も以前は1粒むくのに1分以上かかっていましたが、この方法に変えてからはスムーズに作業が進み、1時間で倍以上の量をむけるようになりました。
さらに作業効率を上げたい場合は、下茹でした後すぐに冷水に取るのもコツです。
温度差で皮が縮み、さらに剥きやすくなります。
剥いた栗を茹でる場合
剥き栗は風味や甘みが逃げやすいので、砂糖と塩を少量加えたお湯で茹でます。
このとき砂糖を入れる理由は、味付けだけでなく栗の細胞を保護する役割もあるからです。
細胞壁が守られることで、煮崩れを防ぎつつ香りや甘みを中に閉じ込めることができます。
茹で時間は15〜20分が目安。
必ず弱火でやさしく加熱するのがポイントです。
沸騰させ続けると、せっかくの栗が割れたり、表面が粉を吹いたようになってしまいます。
また、剥き栗を茹でるときは、鍋底にクッキングペーパーを敷くと衝撃が和らぎ、煮崩れ防止になります。
茹ですぎのデメリットと回避法
茹ですぎるとホクホク感がなくなり、モソモソとした食感になります。
さらに甘みや香りが湯に流れ出し、味がぼやけます。
回避するには、竹串でこまめにチェックし、通ったら即火を止めること。
そのまま余熱で仕上げれば、旨みを逃さずに済みます。
私は一度、気を抜いて20分以上長く茹で続けてしまったことがありますが、結果は見るも無惨な状態に…。
栗は割れて中身が崩れ、味も薄くなってしまいました。
それ以来、必ずタイマーをセットし、途中で数粒取り出して状態を確認するようにしています。
栗の保存方法比較
・常温:長期保存不可。虫やカビのリスク大。秋口の涼しい時期なら数日〜1週間が限界です。
・冷蔵:野菜室で1〜2週間保存。糖化が進み、甘みが増します。新聞紙に包んでポリ袋に入れると乾燥防止に。
・冷凍:茹で栗も生栗も保存可能。生のまま冷凍すると皮むきが楽になりますし、茹でてから冷凍すれば解凍後すぐに使えて便利です。
特に冷凍保存は便利で、使いたいときにさっと調理できます。
私は毎年、まとめて茹でた栗を小分けして冷凍し、冬や春先まで栗ご飯やお菓子作りに使っています。
解凍は冷蔵庫でゆっくり行うか、電子レンジの解凍モードを使えば風味が保てます。
失敗例とその原因
栗を調理していると、誰もが一度は失敗を経験します。
ただし、原因を理解しておけば次に同じ失敗を繰り返すことはありません。
・甘くない → 保存期間が短い/急激に加熱した
栗は買った直後に調理すると糖化が進んでいないため、甘みが少なくなります。
また、熱湯にいきなり入れて加熱すると細胞が壊れて旨みや甘みが外に逃げてしまいます。
改善するには「冷蔵庫で1〜2週間保存」「水からゆっくり加熱」が効果的です。
・皮がむけない → 切れ目なし/下茹で不足
鬼皮はそのままだと固く、渋皮も実に強く張り付いているため、力ずくで剥こうとすると実まで削れてしまいます。
切れ目を浅く入れてから下茹でをすれば、皮が収縮してむきやすくなります。
「時間を惜しまず下準備をする」ことが結果的に作業効率を上げるポイントです。
・ボソボソ → 茹ですぎ/強火で加熱しすぎ
栗は火を通しすぎると水分が抜け、ほくほく感ではなくモソモソとした食感になります。
また、常に強火で加熱すると外側だけが煮詰まり、中がまだ固いままという失敗も。
沸騰後は弱火でじっくり、竹串で確認したら火を止めることが大切です。
さらに補足すると、保存中に乾燥した栗もボソボソの原因になります。
保存時には新聞紙やポリ袋を活用し、適度な湿度を保ちましょう。
応用レシピ
栗はそのまま食べてもおいしいですが、料理やスイーツに使うと一層楽しめます。
・栗ご飯
炊き立てのご飯にほくほくの栗がごろっと入ると、それだけで秋のごちそうに。
塩加減をしっかり効かせることで、栗の甘みがより引き立ちます。
少量の酒や昆布を加えて炊くと香りが豊かになります。
・栗きんとん
和菓子の定番。砂糖を控えめにすると栗そのものの自然な甘さが楽しめます。
茶巾絞りにして形を整えれば、おもてなしの席にもぴったりです。
・栗の渋皮煮
下処理に手間はかかりますが、その分完成したときの喜びは格別。
艶やかに仕上がった渋皮煮は保存性も高く、瓶詰めにして贈り物にするととても喜ばれます。
・マロンポタージュ
洋風スープに仕立てると、栗の優しい甘みとクリーミーな口当たりが絶妙。
冷製にしても温製にしても楽しめます。
バターや生クリームと合わせると、まるで高級レストランの一品のように仕上がります。
よくある質問
Q1. 砂糖を入れて茹でるのはなぜ?
A. 砂糖は味付けのためだけでなく、栗の細胞を保護する役割があります。
結果として煮崩れを防ぎ、甘みや風味を閉じ込める効果が期待できます。
Q2. 栗は冷凍すると味が落ちる?
A. むしろ甘みが増す場合があります。
冷凍によって細胞が壊れ、解凍後に調理すると甘さを感じやすくなるのです。
ただし、長期保存しすぎると香りが飛ぶため、1〜2か月を目安に消費しましょう。
Q3. 一度に大量に茹でたいときは?
A. 大鍋で均一に茹でるか、複数回に分けるのがおすすめです。
一度に詰め込みすぎると火の通りが不均一になり、甘さや食感に差が出てしまいます。
また、大量に作った場合は小分けして冷凍しておくと便利です。
Q4. 茹でた栗はどのくらい日持ちする?
A. 煮汁ごと冷蔵保存すれば3〜4日程度、冷凍保存なら1〜2か月持ちます。
冷蔵のまま放置すると乾燥して風味が落ちるので注意しましょう。
まとめ
- 良い栗を選び、水から茹でる。
- 一晩放置で甘みを最大限に。
- 切れ目+下茹でで皮むき時短。
- 剥き栗は短時間でやさしく茹でる。
- 茹ですぎ厳禁、余熱活用。
これらのポイントを押さえれば、毎年の秋がもっと楽しくなります🍁。
「今年こそ失敗しないで栗を茹でたい」そんな方にとって、今日から役立つ知識になるでしょう。
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